人工芝工事の契約書とは

人工芝の施工を業者に頼むとき、多くの方が気にするのは仕上がりと金額です。ただ、あとから「聞いていた話と違う」となるトラブルの多くは、工事そのものではなく、契約時の書面のあいまいさから生まれています。人工芝の施工は法律上「請負契約」にあたり、契約書と保証書という2枚の紙が、施主を守る根拠になります。ここでは、署名する前に目を通しておきたい項目を整理します。

会社を選ぶ段階では、業者の建設業許可や保険の確認方法もあわせて確認しておくと安心です。

契約書は「あって当たり前」のもの

建設業法第19条は、建設工事の請負契約の当事者に対し、契約の内容を書面にして相互に交付することを義務づけています。これは工事の大小を問わず適用されるルールで、庭の人工芝工事も例外ではありません。「小さい工事だから口約束で」という進め方は、本来の姿ではないということです。

条文には16の記載事項が並びますが、住宅の庭の工事で施主が確認しておきたいのは次の6つです。

  1. 工事内容(施工する範囲、面積、下地の処理をどこまで含むか)
  2. 請負代金の額と、その支払時期・支払方法
  3. 工事に着手する時期と、工事が完成する時期
  4. 設計変更や工事中止になった場合の、工期と代金の取り扱い
  5. 工事完成の検査の時期・方法と、引渡しの時期
  6. 契約不適合責任(引渡し後に不具合が見つかったときの取り決め)

特に注意したいのは1つ目です。「人工芝施工一式」とだけ書かれた契約書は、どこまでやってもらえるのかが曖昧になります。範囲と数量が数字で書かれているかを見てください。

「保証」は3つの層に分かれている

「10年保証です」と言われても、何が10年なのかは業者によって異なります。保証はおおむね次の3層に分かれます。

1つ目は製品(メーカー)保証です。人工芝そのものの品質に対する保証で、責任を負うのは製品をつくったメーカーです。2つ目は施工(工事)保証です。継ぎ目が開く、固定がゆるむといった、施工に起因する不具合に対する保証で、責任を負うのは工事をした業者です。3つ目はアフター点検ですが、これは保証ではなくサービスにあたります。無償の点検が何回付くのか、有償なのかを分けて聞いておくと混乱がありません。

行き違いになりやすいのは、製品保証は10年でも施工保証は1年、というケースです。どちらが何年なのかを、契約前に口頭ではなく書面で確認しておきましょう。

保証書で必ず見る3点

保証書を受け取ったら、次の3点を確認します。

  1. 対象範囲……何に対する保証か。製品か、施工か、その両方か。
  2. 期間の起算日……引渡し日からか、契約日からか。同じ「1年」でも起算日が違えば終わりの日が変わります。
  3. 免責事項……保証されないケースの一覧です。台風などの自然災害、第三者による破損、指定外の使い方、施主自身が手を加えた場合などが並ぶのが一般的です。

免責事項を読まずに「何かあれば全部直してもらえる」と思い込むと、あとで食い違いが起きます。あわせて、保証書に会社名・所在地・担当者名と発行日が入っているかも見ておいてください。

書面が出てこないときの考え方

契約書も保証書も出てこない、あるいは口頭でしか説明がない場合は、いったん立ち止まったほうが安全です。書面を求めることは失礼な行為ではなく、法律が求めていることでもあります。

なお、業者が自宅を訪ねてきてその場で契約したときのように、営業所以外の場所で結んだ契約は特定商取引法の訪問販売にあたり、法定書面を受け取った日を含めて8日間はクーリング・オフができます。2022年6月からは、はがきなどの書面だけでなく、メールやウェブフォームによる電磁的記録での通知も認められました。工事がすでに始まっていても、原状回復は事業者の負担で求めることができ、施主が代金を支払う必要はありません。ただし、自分から業者に来訪を依頼して契約した場合は、原則として対象外です。

よくある質問

Q. 契約書がなくても工事を頼めますか?

A. 建設業法第19条は、工事の規模を問わず、請負契約の内容を書面にして当事者が相互に交付することを求めています。契約書を出してもらうのは当然であり、ないままに工事を進めるのは危険です。必ず契約書を締結したうえで工事を依頼してください。

Q. 「10年保証」と書かれていれば安心ですか?

A. 何に対する10年なのかを確認してください。人工芝そのものに対する製品保証と、工事に対する施工保証は別のものです。施工保証は1年程度というケースもあります。

Q. 保証書は工事が終わってから受け取るものですか?

A. 発行は引渡し時が一般的ですが、内容(対象範囲・期間・免責事項)は契約前に確認できます。契約前に見本を見せてもらうとよいでしょう。

まとめ

契約書と保証書は、工事が終わったあとに効いてくる書類です。受け取ったら工事前後の写真と一緒に保管しておきましょう。万が一、引渡し後に不具合が見つかった場合は、施工に不具合が出たときの手続きを参考にしてください。

出典元情報

  1. e-GOV法令検索|建設業法第19条(https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000100#Mp-Ch_3-Se_1-At_19)
  2. 公益社団法人 全国消費生活相談員協会|クーリングオフ(https://zenso.or.jp/yakudatsu/coolingoff)
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